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小舟のように太平洋にゆらゆらと漂う”緑島”

暑い台灣にもついに秋を感じるようになりました。ですが、今回は熱帯に位置する緑島についてお話したいと思います。


綠島小夜曲 (1954年発行)

「這綠島像一󠇢隻船,在月夜裡搖啊搖,姑娘呀,也在我的心海裡飄呀飄。 讓我的歌聲隨那微風,吹開了你的窗簾,讓我的衷情隨那流水,不󠇡斷地向你傾訴。♪」

意味が把握できましたでしょうか。

恋をしている男女の情緒不安定な雰囲気を描く曲です。


これは古いラブソングですが、台灣では誰でも知っている歌です。この歌を知っているから、ついでに緑島の存在も「おまけ」で知られているのです。


日本の皆さんも台灣にご興味がある方であれば、台灣東部の花蓮や台東をご存知だと思いますが、台東からさらに東に離れて太平洋に浮かぶ緑島についてご存知でしょうか。


台灣の経済の中心である台北や台中など台灣の西側からは、緑島までのアクセスがとても面倒なので、台灣人でも行ったことがない人の方が多いのです。



この1~2年間は新型コロナ禍によって、海外に行けなくて悔しい思いをしている台灣人はとても多いのですが、海外の代わりといっては何ですが、普段は訪れない台灣の孤島である緑島に行く人が増えているのです。


その流れに乗って、私も生まれて初めて緑島に行ってきましたので、そのレポートをお話しいたします。


台北から台東までは、台灣鉄道の特急を使えば4時間弱で行くことができます。台東駅に着けば、タクシーで20分ほどかけて富岡漁港まで行きましょう。そこから40分ほど船に乗り、緑島に辿り着きました。出発した台北は雨でしたが、熱帯地方である緑島はとても良い天気でした。


緑島は大きくない島ですので、レンタルバイク(スクーター)を借りると便利です。バイクに乗って走ると、気分はとても「最高!」でしたが、熱帯地方であることをお忘れなく、日焼けにはご注意下さい。しっかりと日焼け対策をしましょう。





バイクで島を一周したり、シュノーケリングで海を探索したり、熱帯の太平洋に浮かぶ緑島では大自然を満喫できます。


そうそう、海水温泉も紹介すべきです。緑島には稀な海水温泉があるのです。夜には星空もよく見えて素敵な一時になりそうです。昔は、そのまま海の中に入るそうでしたが、現在は安全のためにかプールがちゃんと整備されています。海の中だともっと風情が出るのだと思いますので少し残念ですね。


海水温泉をお薦めしておいて何ですが、私が行った日はとても暑かったので、温泉に入る勇気はなかったのです。夜の温泉に入った実際の感想をレポートできずごめんなさい。



さて、緑島に来ましたら、歴史の話にも触れないと物足りない気がします。


ここは日本統治時代に「浮浪者収容所」として利用されました。その後、50年代から80年代にかけては、緑島は政治犯を収容する監獄として台灣では知られていました。その時代は中国共産党の台灣への潜入を防ぐために、戒厳令の下に非常に厳しく社会監視が行われ、怪しいと思われたら、共産党の諜報員だとみなされて通報され、緑島監獄に送られることもありました。


当時の政情や、情報が不透明な時代でもありましたので、送られてきた人が実はえん罪だったことも沢山あったと言われています。



一番最初に挙げた「綠島小夜曲」はその時代の犠牲者とも言えます。その歌の歌詞が当時の台灣当局に「抗議の示唆」だと思われたのでしょうか、「綠島小夜曲」は流通禁止になっていました。


明るく美しい島なのに、かすかに時代の悲しみに包まれる感じですね。


島の旧監獄場所には「人権平和記念公園」が設置され、一つ観光地としてなっています。ちなみに50年代台灣の歴史に興味がありましたら、「返校」というスリラー映画もおすすめです。


上記の政治的な背景もあり、緑島は観光地としての開発が遅れていました。いい意味で、現在、島で飲食店やお土産店を開いている人たちは、若くて個性的なオーナーが多いです。物価は台北並みですが、サービスの質も良いと感じました。



バイクがないと移動が面倒という点から言えば、緑島ではお店が多い地域に宿を取ることがおすすめです。それとやはり週末は避けたほうが良いと思います。平日の緑島はとてものんびりとゆっくりと過ごせますよ。


唯一、注意しなければならないことですが、11月から翌年4月までの緑島はモンスーン期となりますので、天候不調で台灣本島に戻る船の日程が乱れ、遅延やキャンセルとなることも珍しくありません。


それでも、少し長めに台灣に来られる機会がありましたら、緑島は間違いなくおすすめですよ!



(”睡美人與哈巴狗”というスポットです。どちらが睡美人どちらが哈巴狗なのかお分かりでしょうか。)


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