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【Haotalks オンライン台湾華語】Mandarin Topics

2021年12月

ちょっとした「台湾語」1

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

「台湾華語」と「台湾語」

今回は「台湾華語」ならぬ「台湾語」についてお話したいと思います。

台湾の高鐵(台湾新幹線)や台湾各地の電車の車内アナウンスを聞かれたことがあるでしょうか。

車内アナウンスは4つの言語で4回放送されています。最初は「台湾華語(台湾中国語)」、次に「台湾語」、続けて「客家語」、最後に「英語」という順番で放送されています。

Haotalksの会員の皆様は、さすがに「台湾華語」と「台湾語」は違う言語であることはご承知でしょう。しかし、多くの方々は、台湾で話されている言語に「台湾華語」と「台湾語」という2つの言語があることはご存知ないかと思います。

しかし、「台湾語」は「台湾華語」よりも、遥か昔から台湾の言葉として使われてきたのです。

「台湾語」の始まり

遡ること、今から約400年前の17世紀初頭から、オランダ、明、清の順番で台湾を統治していく過程の中で、中国大陸から大勢の漢民族が台湾に移住してきました。

台湾に移住してきた漢民族の多くは、中国福建省南部の出身者でした。実は彼らのしゃべっていた言葉こそが「台湾語」のルーツなのです。つまり、「台湾語」のルーツは中国福建省南部の方言だったのです。

実は同じ時期に。中国広東省東部の出身者も少数ですが台湾に渡ってきています。彼らのしゃべる言葉も「客家語」として今も台湾に残っており、車内のアナウンスでも「台湾語」に続いて3番目に流れているのです。

さて、中国福建省南部の方言からスタートした「台湾語」ですが、台湾の原住民の言語からも影響を受けてきました。

更に、日本の統治時代を経て、日本語の表現も加味されて現在の「台湾語」になったのです。そのため、日本語から由来する「台湾語」の言葉も多いのです。(続)

2021年12月

ちょっとした「台湾語」2

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

「台湾語」の中で、日本語由来の言葉

いくつか日本語から由来する「台湾語」を挙げてみましょう。

①日本語の漢字はそのまま使い、発音だけ台湾語特有である言葉:

◎注射=(ツゥーシャー)
◎病院=(ベンイン)
◎注文=(ツゥーブン)

②日本語の発音をそのまま使う言葉:

◎おじさん=オジサン
◎おばさん=オバサン
◎あっさり=アッサリ
(台湾語の意味ではずるずるしないような態度を指すことです。)
◎あさぶろ=アサブル(ろ→るに変えた)
(台湾語の意味では朝風呂をするような人で遊びばかりチャラい人の比喩です)

③日本語のカタカナ言葉をそのまま利用した言葉:
ビール、ライター、サービスなど。


「台湾語」から「台湾華語」へのスイッチ

さて、長らく台湾人の言語として使われてきた「台湾語」ですが、1949年以降、台湾では国民党による体制になってから、いわゆる北京語が国語とされ、学校でも北京語による教育がなされるようになりました。これが「台湾華語」です。

もっとも、急に北京語に日常生活がスイッチできるわけもなく、もちろん台湾語もそのまま日常で使われてきました。

現在も60歳以上の年配の台湾人は、まだまだ「台湾語」を使っています。
もちろん、彼らも「台湾華語」をしゃべりますが、「台湾華語」を使っていても「台湾語」の発音訛りがあるのです。

つまり、台湾語訛りのある北京語が「台湾華語」と言えると思います。

現在の若者たちの台湾華語の発音には台湾語訛りは少なくなりましたが、まだまだ家庭では台湾語で話したりしますし、台湾華語で話していても、会話の所々に台湾語の表現を使ったり、台湾語も混ぜて会話したりすることが一般的です。

ビジネスの場面においても、相手が台湾の老舗企業でしたら、敢えて「台湾語」で話しをしたり交渉することによって、より物事が進みやすくなるという話もよく聞くのです。(続)

2021年12月

ちょっとした「台湾語」3

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

「台湾語」と「台湾華語」との違い

「そうは言っても、台湾語と台湾華語は似ているではないのか?」、「方言レベルの違いではないのか?」 このように、海外の皆様からよく聞かれることがあります。

しかし、結構な違いがあるのです。特に発音体系は相当複雑です。台湾華語には4つの声調があります。台湾語には7から8つの声調があると言われています。

「台湾華語」では、一つの漢字に対して、基本的には一つの発音しかありません。従って、その一つの発音を覚えれば済むのです。

一方、「台湾語」では、漢字が同じでも使う場面が変われば読み方が変わることが多いのです。これは日本と同じですね。日本語の漢字のように音読みと訓読みの違いもあります。

それどころか、「台湾語」の漢字(表記)は統一されていないのです。日本語ではこの漢字を使う、台湾華語の繁体字ではこういった漢字となる、といった風に普通は比較できるでしょう。しかし、「台湾語」ではどの漢字を使ったらいいのか、沢山あって特定ができないのです。

実は「台湾語」の体系自体が定まっておらず、様々な学説があるのです。


「台湾語」の単語を覚えて楽しもう

難しい話は大学教授に任せておきましょう。

それよりも、いくつか「台湾語」の単語を覚えてみる程度に楽しんではいかがでしょうか。台湾に来られた時に、ちょっとした会話に「台湾語」の単語を混ぜて喋ったら、台湾人はびっくりすると思いますよ!


◎日本語:こんにちは
 台湾語:リハー
 台湾華語:你好

◎日本語:おはよう
 台湾語:ガオザー
 台湾華語:早安

◎日本語:美味しい
 台湾語: フーチャ
 台湾華語:好吃

◎日本語:ありがとう
 台湾語: ドゥーシャー
 台湾華語:謝謝

◎日本語:すみません
 台湾語: パァィンセイ
 台湾華語:不好意思



2021年8月

真夏の「伯朗大道」1

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

台東への旅行を計画


今年の夏のお盆休みはどう過ごされましたか。

新型コロナウイルスの懸念もあり、移動自粛を呼びかけられていましたので、例年通りお出掛けしたり、帰省したりすることが難しかったかもしれませんね。でも、前向きに乗り越えられると願いましょう!

台湾全国でも、5月15日から始まった「疫情警戒標準三級(緊急事態宣言3級)」によって、店内や屋台ですら食事をすることが禁止されており、会食は一切できなくなっていました。

但し、7月27日付けで「二級」に下がり、店内で食事することがやっと解禁されました。それでも一人一人の間に必ず間隔を置く座り方でないといけないことになっています。

ちなみに、この座り方を「梅花座」と言いますが、これでは友人と一緒にお店に入っても十分に喋られず、なんだか楽しくありません(笑)。まだまだ、楽しい会食は先のようです。

会食がだめなら旅行に行きたい! 

ということで、どこか遠くに行きたい気持ちを抑えられなくなりました。まだ海外には行けませんので、台湾の中ですが、台北から最も遠い台東エリアに行ってきたのです。(続)

2021年8月

真夏の「伯朗大道」2

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

地理的にも政治的にも遠い台東?


ところで台東は地理的以上に離れている感じがするのです。遡れば、中国の清朝は1685年に始めて今の台南に「台湾府」を設置したのですが、台東は地理的にも往来が難しいことや、多くの原住民がいたこともあり、19世紀中期まではずっと清朝の管轄外とされていました。その後「台東州」を設置したのは、200年も後の1887年になってからでした。

今も台東は他の地域と比べれば政治的にも目立たないですし、開発なども遅れている感じがあります。しかし、それが海川山といった美しい自然をそのまま残し、また、多くの原住民による多元文化も根付いており、観光アピールのかいもあって、今ではたくさんの観光客を呼び込んでいるのです。
 

台北から台東までのルート


さて、台東までのルートについてお話ししましょう。

台北から列車で台東に行くには、太平洋側から台湾鉄道を使って行くルートと、台湾海峡側から新幹線を使って高雄経由で行くルートがありますが、今回は旅の実感をより味わいたく、迷わず太平洋側からのルートを選択しました。

皆さんは、台湾の太平洋側に行かれたことはありますでしょうか。山と海の自然に囲まれた大自然が醸しだす風景は旅情満点です。険しい山が太平洋に飛び込んでる姿など、特に晴れた日には青空と相まって、とても爽快な気持ちになりますよ!


お目当ての「伯朗大道」


さて、台東に着いた後、美味しいお米のブランドとして知られている「池上郷」というところに訪れました。郷とは日本でいうところの市町村のようなものです。今回の目的地はこの「池上郷」にある「伯朗大道」という人気のスポットです。数年前に金城武さんを起用したCMの撮影地となったことがきかっけで、一気に台湾で人気スポットとなったところです。

「伯朗大道」は、周りを遠くの山脈で囲まれた、まさに田舎の小さなのどかな村といった風景です。電柱なども一本も見えず、ただ広大に田んぼがひたすら広がっています。インスタ映え必至の大人気スポットです。(続)

2021年8月

真夏の「伯朗大道」3

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

自転車でのんびり


「伯朗大道」には自動車やバイクが入ることが禁じられており、自動車やバイクは一切視界に入ってきません。周りの高い山脈の挟まれた平野の中、広大な田んぼが続く風景は、時間が止まった不思議な光景です。

「伯朗大道」は全長6キロ位なので、徒歩だけですと少しきついかもしれません。なので、さすがに自転車や電動自転車などを入口で借りて入ることができます。

時間の止まったのどかな田園空間を、自転車をゆっくり漕ぎながら進んだり、止まってしばらくして風景を眺めたり、とってもリラックスでき、最高でした。まさに何も無いことを満喫しました。


美しい自然とのどかな田舎の風景が絶品


ただし、真夏のお昼の時間は避けたほうがよいでしょう。太陽を遮るものは何もありません。また、周りは田んぼで真夏の太陽を反射して、それはもう熱中症になるのではと思うくらい暑かったです。

それでも、真夏の「伯朗大道」の風景は絶品です。

空を見上げれば、上空を遮るものは何もないなか、鮮やかな青空と真っ白な雲が、最大源に広がっています。

地平線に目をむけると、遠い山脈まで続く無数の田んぼといった、のどかで平和な緑の田園風景が、こちらも最大限に広がっています。

真夏ゆえに色が鮮やかな風景は自然の贈り物です。暑さを我慢したかいもあるものです。

実は「伯朗大道」には今回初めて行ったのですが、とってもおすすめです!

長く台湾に訪れることができるならば、是非お時間を作って行ってみることをお勧めします。


失敗談


さて、最後に失敗談を、、、、。

台北から花蓮経由で台東に行くには、台北から一番速い特急でも4時間かかります。長旅になるので、お供の「おやつ」をしっかりと準備して、ワクワクして改札に入りました。

しかし、ここでちょっとがっかりすることになります。「駅構内および電車内は飲食禁止」というサインが目に入ってきたのです。そうなんです、台湾は現在、地下鉄に限らず台湾鉄道でもコロナ対策で飲食禁止になっているのです。結局、台東までは列車の中で何も食べられませんでした。皆さんも台湾での鉄道旅行では気をつけてくださいね。

2021年6月

粽(ちまき)比べ

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

台湾の端午節(たんごせつ)は6月!

日本では5月5日は、「端午の節句(たんごのせっく)」として、こどもの日として祝日となり、鯉のぼりをあげたり「粽(ちまき)」や「柏餅」を食べますよね。

台湾でも5月5日は「端午節(たんごせつ)」と言い、台湾ではとても重要な季節の行事となるのです。
ただし、台湾では太陰暦または旧暦を使用しますから、お祝いをする旧暦5月5日は、新暦によると今年は6月14日になります。

「端午節(たんごせつ)」は台湾の3大節句の「春節」「端午節」「中秋節」の一つであり、とてもとても大事な祝日になります。


粽(ちまき)を食べよう!

台湾の「端午節(たんごせつ)」でも、日本と同様に「粽(ちまき)」を食べるのですが、『食過五月粽,寒衣可入櫃;不食五月粽,寒衣不敢送』という諺(ことわざ)があって、「この旧暦五月の粽(ちまき)を食べたら、もう冬服を仕舞ってもいい。旧暦五月の粽(ちまき)を食べなければ、まだ冬服を仕舞ってはいけない。」という意味になります。

ということで、日本では6月半ばにあたる旧暦5月5日の「端午節(たんごせつ)」を過ぎたら、台湾では本格的に夏を迎えることになるのです。夏を迎える前に、ショウブやヨモギを飾ることで虫除けをしたり、邪気払いをするという意味もあります。


端午節(たんごせつ)ボーナス!?

ところで台湾国民における「端午節(たんごせつ)」の重要度の高さは、台湾の多くの会社で「端午節」ボーナスが支給されたり、商品券を支給されたりすることで分かって頂けるのではないでしょうか。これは台湾人の楽しみですよ!

日本と同様、台湾でも「端午節(たんごせつ)」は連休になるので、地方から都市に出てきている人は実家に帰省します。残念ながら今年はコロナ感染拡大の懸念があるために、帰省や行楽などを自粛しようと台湾政府が呼びかけていますので、自粛している国民も多いですが、せめて「端午節」に食べる定番の「粽(ちまき)」を食べましょう! 季節の味を楽しむことは大切ですからね!(続)

2021年6月

粽(ちまき)比べ

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

台湾北部と南部の「粽(ちまき)」の違い

台湾の「ちまき(粽子 / zòng zi / ㄗㄨㄥˋㄗ˙)」は、台湾の中でも地域によって料理方法が異なります。日本でも関東と関西で味付けや調理方法に違いがあると思いますが、台湾でも大きく分けて北部と南部の違いがあります。
実は台湾北部と南部はどちらも負けず嫌いなので、毎年必ず「粽(ちまき)」の調理法の違いで盛り上がります。

「粽(ちまき)」の具材はもちろん、調理法も違います。

北部粽は、最初に味付けしてもち米と具材(干しエビ、スルメ、干し大根、豚バラ肉等)を炒めたものを、笹の葉で包んで更に蒸します。

南部粽は、生のもち米と炒めた具材(落花生、シイタケ、卵の塩漬け、豚肩ロース肉等)を笹の葉で包んで、蒸すのではなく茹でるのです。

北部粽は蒸すだけなので、硬めの笹の葉を使いますが、南部粽は茹でるため、具材がはみ出さないようにしっかりと包む必要があるので、柔らかめの笹の葉を使うことになります。


粽(ちまき)の勝者はどちら?

さて、どちらが美味しいのかが両者の戦いです。

北部粽のもち米は、あらかじめ味付けして具材と炒めたものなので、歯ごたえがよく比較的濃い味付けです。台湾では「油飯( yóu fàn / ㄧㄡˊㄈㄢˋ)」というB級グルメがあります。日本ではおこわのような料理ですね。この北部粽の中身は「油飯」とよく似ています。

南部粽のもち米は茹でているために、柔らかくて粘りを感じます。具材の落花生も茹でて柔らかくなっており、相性は抜群です。シイタケの良い香りもします。

さて、勝者はいずれでしょうか?
もちろん勝者も敗者もありません。どちらも美味しいですよ!
だから、この戦いは過去から将来に渡って永遠に続くのです。
それが楽しみですからね!


さまざまな粽(ちまき)を楽しもう!

日本の南九州には、「あくまき」という端午の節句の祝い菓子がありますが、台湾にも甘い「ちまき」である「鹼粽( jiǎn zòng / ㄐㄧㄢˇ ㄗㄨㄥˋ)」があります。

「鹼粽」は、透明感のあるきれいな琥珀色と、もっちりとしているのに弾むような弾力がある独特の食感が特徴です。

健康志向の方には、油分少な目や野菜の「粽(ちまき)」も出されています。台湾でもここ数年健康志向が高まっていますからね。

台湾に来られる機会があったら、いろんな「粽(ちまき)」を食べ比べると楽しいのですが、現在の状況では難しいと思いますので、外部の映像ですが探してみました。ご参考になれば嬉しいです。北部粽を作ってみたい方がいらっしゃいましたら、是非ご覧くださいね。https://youtu.be/i7C1XKf62ak

2021年5月

飲水思源(いんすいしげん)

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

台湾では、今年の4月から中部から南部の地域にわたって給水制限がかけられています。ホテルやスポーツクラブの営業用プールも利用が中止されています。1947年以来の記録的な水不足の問題に直面しているのです。

昨年から降水量が少なく、以前から水不足が心配されていましたが、それが現実のものになっています。台湾では昨年の4月から6月の雨季から雨量が少なく、その後の台風シーズンの7月から9月にかけても台風がほとんど来なかったのです。2021年に入ってからも例年に比べて雨が少なく、ますます深刻な状況になってきています。もちろん雨は嫌ですが、今回に限ってはまとまって雨が降って欲しいですね。

そんな水不足の現状もありますが、ちょうど100年前に台湾南部の水不足に対する灌漑用水確保に尽くした日本人エンジニアのお話をさせていただきたいと思います。

台湾の新幹線である「高鐵」に乗ったことがあれば、台湾中部から南部にかけて、見渡す限りの広大な水田や稲穂の光景を見たことがあるのではないでしょうか。台湾中部の雲林から、嘉義、南部の台南、高雄にわたっては、“嘉南平原”といい、台湾の米蔵として知られています。お米の収穫期にこの平原を見渡すと、真に金色の波のようです。しかしながら、大昔からこの光景という訳ではなかったのです。今からほんの90年前には全く異なる風景だったのです。

台湾の地形をご覧になるとお分かりでしょうが、台湾の中央には日本の富士山よりも高い険しい山々が聳え立っています。その高低差もあって、山にたくさん雨が降っても、あっという間に海まで流れてしまうのです。そのため稲作を行うことは難しかったのです。もともとは水不足となり水田には向かない地形なのです。

そのような時代であった1910年に、日本から一人の若い土木エンジニアが台湾にやってきました。その方は日本の東京帝大(現在の東京大学)を卒業したばかりの当時24歳の八田与一さんという方でした。(続)

2021年5月

飲水思源(いんすいしげん)

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

八田さんは当時の海外の様々なダム建設や灌漑システムなどを見学しており、その知識を活用して台湾各地のダム(水庫)や給水システムを建設するよう様々な提案をしたのです。資金の工面や上層部の同意などを取り付け、様々な障害も乗り越えて、1920年に台南市にある“烏山頭水庫”を着工しました。更にその後10年を経て、当時東南アジア最大のダムである“烏山頭水庫(ダム)” が1930年5月に竣工しました。

このダムのおかげで灌漑用水が確保され、台湾米の最大の産地である“嘉南平原”が出現したのです。ちなみに、現在の台湾最大のダムである“曽文水庫”も八田さんが考案した場所に建設されています。

大変無念なことですが、1945年5月8日に、八田さんはフィリピン行きの戦艦に乗っているところを射撃されて、八田さんはお亡くなりになりました。八田さんの遺骨は“烏山頭水庫”の脇に埋葬されました。更にとても悲しいお話ですが、奥様は終戦後にも日本に帰国せず、八田さんの後を追うように八田さんの形見でもある“烏山頭水庫” に投身されてしまいました。

“烏山頭水庫” には、台湾最大の米所である“嘉南平原”をもたらせた八田さんと奥様が一緒に今も見守ってくれているのです。

今年はちょうど“烏山頭水庫” 着工100年周年です。100年後の今年になって水不足になり、改めて八田さんの功績が台湾の人々にとってありがたいことか思い出されました。

飲水思源(いんすいしげん)という言葉があります。物事の基本を忘れずに大切にしよう、または受けた恩を忘れてはいけないという戒めを意味しますが、水を飲むときには、水源やその水源を作った人に感謝しましょうという意味からきています。台湾国民が八田さんに想うべき言葉をこれほど表している言葉はありません。改めて八田さんに感謝したいと思います。

台南市にある“烏山頭水庫”は、現在ダムパークとして整備されており見学ができます。台南市に訪れることであれば、日帰りで“烏山頭水庫”への見学はいかがでしょうか。

2021年4月

台湾最大の宗教イベント「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼」

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

今回は、世界三大宗教行事の一つとされる台湾の一大イベント「大甲鎮瀾宮媽祖遶境(大甲鎮瀾宮媽祖巡礼)」に参加させてきましたので、その体験を報告します。

最初に台湾の宗教事情についてお話します。

台湾に訪れた方はご存知だと思いますが、台湾では街中から田舎まで、カラフルなお寺を多く見かけます。また、街中のお店の前やビルの前に、ちょっとしたテーブルが設置されて線香が置かれ、果物やスナック菓子などのお供えものも並べられ、そこに人々がお参りしている光景を見かけたこともあるのではないでしょうか。

一見、とても宗教熱心に見えるかもしれませんが、宗教の戒律に厳格に従っている感じではありません。何かの宗教に属しているという感覚は無く、イベント参加のようなゆるい感じです。このあたりは日本と似た感じです。

ところで、日本ではお寺と神社は別ですよね。日本古来の神道では神様、仏教は仏様。神社に仏様はいないですし、お寺に神様はいないと思います。

ところが、面白いことに、台湾ではお寺に神様がいるのです!

これは、台湾では「仏教」だけでなく「道教」が根深く社会に根を張っていること、「仏教」も「道教」もどちらの施設もお寺と呼ぶこと、そして「道教」のお寺には神様が祀られていることがその理由です。ちなみにカラフルなお寺は「道教」のお寺です。

道教は日本では宗教というより道徳の一つと捉えられていると思いますが、台湾では仏教とも寛容的に結びついた多神教の紛れもない宗教なのです。

よく日本では商売の神様とか、学問の神様とか、そういった神社がありますが、台湾では道教のお寺がそれにあたり、それぞれのお寺にそれぞれの分野に得意な神様がいらっしゃるのです。(続)

2021年4月

台湾最大の宗教イベント「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼」

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

道徳と神様が結びついた例として、悪いことをしたら神様に罰を与えられるのだと、良いことをしなければならないよと、小さい頃から言われています。この辺りは日本と似ていますね。

日本からの観光客に馴染みのある「龍山寺」や「行天宮」も、「道教」の神様を祀るお寺なのです。

さて、色々な神様がいる道教ですが、航海や漁業の神様として知られるのが「媽祖(まそ、ㄇㄚ ㄗㄨˇ、mā zǔ )」と言われる女神様です。

台湾の媽祖様を祀ったお寺を「媽祖廟」と言いますが、規模の大きいものが多く、そのお祭りも台湾で最大級とされるものがあります。

特に毎年旧暦3月に行われる「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼」という行事は、紛れもなく台湾全土で最大級のお祭りです。

このお祭りは、台湾中部の台中から彰化、雲林を通じて嘉義へといった21の市町村、100近い寺院を経由する300キロ以上のルートを、8泊9日に渡って徒歩で巡回していくものです。

この年に一度の大イベント「大甲鎮瀾宮媽祖遶境(大甲鎮瀾宮媽祖巡礼)」に、1日だけですが巡礼に参加して歩きましたので、そのお話をご紹介したいと思います。

この大巡礼は、ディスカバリーチャンネルから世界三大宗教行事の一つとして認定されたほか、ユネスコから「世界無形文化遺産」にも認定されています。

スタート地点となる「大甲鎮瀾宮」は、お祭りの主役である「媽祖様」を祀る、台中市の大甲区にあるお寺です。この大巡礼を主催しています。

「媽祖様」はお神輿に乗って巡礼しますが、巡礼ルート沿いでは、沢山の爆竹を鳴らして「媽祖様」をお迎えします。各陣頭が盛り上がりとても賑やかな雰囲気となります。

巡礼者は台湾全土から集まり、9日間の荷物を背負って「媽祖様」と一緒に巡礼します。(続)

2021年4月

台湾最大の宗教イベント「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼」

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

ほとんど休まずに巡礼は進むので、巡礼者もずっと歩き続けます。当然疲れるので、街の横で休憩したり寝たりするのです。すぐ休めるように寝袋も用意しているようです。

人々もそれを知っていますので、巡礼ルートのコンビニではタンボールを敷いて一休みできるスペースを作ってあげます。

巡礼者の食事はどうするのかと心配された方、大丈夫です。途中の食事に関しても全く心配ご不要です。巡礼ルートの途中にある民家では、お水やスナック菓子、パン、食事、果物など用意しています。建前は「媽祖様」に捧げるためですが、実際には巡礼を続ける巡礼者を応援しているのです。

巡礼者は無料で沿道の人々から食べ物をもらうのですが、渡す側の住民達の方が、笑顔で巡礼者に「ありがとう」や「お疲れ」などと言いながら、食べ物を渡すのです。

私も1日巡礼した中で、励ましの言葉や施しを頂き、沿道の皆さんの優しさに感動しました。

そもそも「媽祖様」とはどんな神様でしょうか。もともと中国福建省の沿海に漁師を見守る海上の女神と呼ばれる神様でした。

約400年前に中国の漢民族が沢山台湾島に移民し始めた時に、無事に台湾海峡を渡るように見守ってもらっていたようですが、漁師達だけではなく台湾の住民にとってとても重要な信仰対象となっていったのです。

「媽祖様」の管轄も海だけでなく台湾人の生活のあらゆる面に広がり、今日ではどんな悩みがあっても「媽祖様」にお祈りすれば導いて頂けると信じるようになりました。

近年、観光イベントとして地方政府や主催のお寺は、この「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼」の国際的な宣伝にかなり力を入れていますので、1日だけの体験参加も大歓迎されています。

特別な準備も必要ありませんし、一部の巡回ルートは鉄道の駅と離れていませんので、車がなくてもアクセスできます。

お時間が合いましたら、とてもお勧めです。

爆竹の迫力と台湾人のもてなしに囲まれる1日になりますよ。

2021年3月

鳳梨(パイナップル)を食べると幸運がついてくるよ。

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

今回は、この2月に一気に話題になった台湾産のパイナップルの話をしたいと思います。

パイナップルを台湾華語で発音すると「鳳梨/ ㄈㄥˋ ㄌㄧˊ/ Fènglí」となります。また、台湾語による発音は「オウンライ」と言い、「幸運が来る」という意味になります。そこで台湾ではとても縁起の良い果物だとされています。特に春節(旧正月)に先祖に捧げるお供え物としてよく使われる果物なのです。


台湾農家に突如起きた苦難(中国政府による輸入禁止)

春節も終わるとパイナップルの話題も落ち着くはずですが、未だにパイナップルに関するニュースが毎日のように報道されています。その理由はご存知の方も多いと思いますが、中国(中華人民共和国)政府が、今年の3月1日から台湾産のパイナップルの輸入を急に禁止したのです。

例年台湾産のパイナップルが大量に中国に輸出されていましたが、それが急に禁止されたことで、大量に余ったパイナップルをどうやって消費するかという問題が生じたのです。

とても美味しい台湾のパイナップルは、台湾国民も大好きですから9割は国内で消費され、海外輸出は1割に過ぎません。しかしその海外輸出1割のうち9割が中国向けでした。つまり丸々1割の消費先が無くなってしまったのです。

旬になる直前に中国から輸入禁止だと言われたため、農家のみんなは大パニックとなりました。そこで台湾政府と民間が一緒になって農家を助けようと呼びかけたのです。


品種改良で現在の甘い台湾産パイナップルに変身

今の日本にとってパイナップは珍しい果物ではありません。パイナップルの味なんて分かっていると思いますよね。しかし、一度でも旬の時期に台湾でパイナップルを切って食べてみてください。「え! パイナップルってこんなにジューシーで甘いの!?」と驚くに違いありません。それくらい日本で食べられているパイナップルとは違うことが分かるでしょう。

そんな今でこそ驚くほどジューシーで糖度が高く甘い台湾産のパイナップルも、実は30年以上前までは他の産地のパイナップルと同様に少し酸味があったのです。そのため主に加工されて出荷されていました。加工の過程でパイナップルの芯は切り取るのですが、その切り捨てられた芯を砂糖漬けにして干したものは、安くて甘い子供に人気のおやつでした。

芯まで食べたいという台湾人の気持ちが強かったのか、台湾の農業技術が大幅に進歩して、糖度が高く酸味が少ない美味しい現在の台湾産パイナップルになったのです。今では芯まで甘くて美味しいと言う声もあります。是非、本場台湾の旬の時期のパイナップルを市場で買って食べてみて下さい。マンゴーに負けない美味しさに驚くはずです。(続)

2021年3月

鳳梨(パイナップル)を食べると幸運がついてくるよ。

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

日本で起きた台湾への恩返し運動「台湾産パイナップルを買おう!」

さて、今回、日台間の友好関係がまた一つ現れました。日本から「台湾産のパイナップルを買って台湾の農家を助けよう」という運動が起きているのです。その声の中には「パイナップルを買って恩返ししよう。」といった声もありました。

恩返しとは2011年の東日本大震災の際の義援金のことです。当時、台湾からなんと米国とほぼ同額の義援金が日本に寄せられました。米国との人口差や経済力から比較すると、いかに台湾国民が日本のことを想って頂いたかが分かるでしょう。特に大変な思いをされた東北の方は今でも感謝の気持ちを忘れていないそうです。


やっぱり幸運を運ぶパイナップル

現在、日本では台湾産のパイナップルが並ぶとすぐに売り切れるほどだそうです。これまで台湾産のパイナップルは他のアジアのものより少し価格が高いために仕入れを敬遠していたスーパーなどの業者も、「糖度が高くて酸味が少ない」「芯まで食べられる」台湾産のパイナップルに注目しているようです。

これまでパイナップルの酸味が嫌で食べなかった人も、今回をきっかけに産地によってパイナップルの味が異なることに気づき、台湾産のパイナップルなら好きになって頂けるのではないでしょうか。

日本の人々が台湾パイナップルを購入して応援しようというニュースは台湾でも沢山流されています。甘くジューシーなだけでなく心が温かくなる真に幸運の果物ですね。スーパーマーケットで台湾産のパイナップルを見かけましたら、是非買ってみて下さいね。

2021年2月

恭喜發財! 牛年大吉! 你喜歡牛肉嗎?

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

ご存知かもしれませんが、台湾人にとっては新暦のお正月(1月1日)よりも旧正月の方が重んじられます。会社でも旧正月を基準としており、年末のボーナス支給や忘年会などは旧正月の直前に行われるんです。

なお、旧正月はあくまで旧暦が基準となるので、新暦を基準としたカレンダー上では、毎年旧正月の月日が変わることになります。2020年の場合は1月25日でしたが、2021年の場合は2月12日に牛年のお正月を迎えます。

正月の日が毎年変わるなんて不思議と思われるかもしれませんが、旧暦を基準としたカレンダー上では、逆に新暦のお正月が毎年変わることになるんですよ。

さて、新暦も旧暦も2021年は丑年です。牛といえば、台湾では有名な牛肉麵、台南にある牛肉清湯などが有名です。

ところが実は、台湾人の中には牛肉を食べない人が結構いるんです。台湾企業に勤めることになれば、飲み会の幹事になった場合は少し大変になります。豚肉や鶏肉は食べるけれど牛肉を食べない方や、そもそもベジタリアンの方が結構いますので、彼らに配慮した飲み会場所を選ぶ必要が出てきます。(続)

2021年2月

恭喜發財! 牛年大吉! 你喜歡牛肉嗎?

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

なぜ牛肉を食べないのでしょうか。もちろん台湾ではヒンズー教は普及していませんし、厳格な仏教徒でお肉を食べないという人もごくごく一部です。

台湾人が牛肉をあまり食べないという説のなかで説得的な説は、かつて牛はとても農作業に大事な役割を果たしてもらったので、牛に助けられたという恩を忘れないために、牛肉を食べないようにしているという説です。

台湾の漢民族は数百年前に中国大陸からやってきたと言われますが、その時からつい100年前までは牛肉を食べなかったそうでした。しかしその後、スペイン、オランダ、日本の明治維新以降の統治を経て、牛肉を食べる文化が入ってきたことで、台湾人も牛肉を食べるようになったと言われています。

しかし、長らく牛肉を食べない文化が続いていたことから、今でも年配の人たちは「牛肉を食べるのは良い事ではない」と思っている人が少なくないようです。

ところが、最近は若い人の中にも牛肉を食べない方が出てきています。牛肉を食べると頭が回らなくなるとか、幸運がついてこないといった理由からだそうです。神様に願い事をする際にも、願いが叶うなら当面牛肉を食べませんと誓うこともあるそうです。

台湾の方と一緒に食事する際には、「牛肉は食べれますか」とあらかじめ聞いてあげて下さい。ちょっとした配慮になりますよ。

2020年12月

台湾映画:「海角七號」(日本語名:海角七号 君想う、国境の南)

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

新型コロナウイルスの問題で、いつもは人気あるハリウッド映画が、今年は台湾ではほとんど上映されませんでした。そのおかげでニッチ市場でしかなかった台湾映画が脚光を浴びました。

台湾映画のアカデミー賞である「金馬獎(ジンマージャン)*」は、先月11月に開催され、いくつかの良い映画が表彰されています。

表彰された映画は、ドラマ映画の「孤味(Little Big Woman)」、ロマンティックコメディの「消失的情人節(My Missing Valentins)」、ドラマ映画の「親愛的房客(Dear Tenant)」等々です。どれも興味深い映画ですので、お時間がありましたらチェックしてみてください。
 
今回、ご紹介させて頂くのは、2008年に最優秀助演男優賞を受けた「海角七號」というロマンティック・コメディです。(続)

2020年12月

台湾映画:「海角七號」(日本語名:海角七号 君想う、国境の南)

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

「海角七號」は、田舎に戻った売れないバンド歌手である台湾人男性と、モデル兼通訳である日本人女性が主人公です。

二人は古いラブレターを見つけました。それは今から60年前に、第二次世界大戦が終わり、台湾から日本に帰国する日本人男性教師が、台湾人女性に向けて書いた7通のラブレターでした。

二人は、ラブレターの相手である台湾人女性を見つけて、60年の時を超えて渡すというストーリーです。

映画は台湾の一番南にある墾丁(カンディン)という田舎の物語なので、村人の純朴さが温かく感じられます。時々台湾語も出てきます。 

この映画はシンプルなラブストーリーですが、当時の興行収入ランキングは、あのハリウッドの代表的映画である「タイタニック」に続いて2位まで上りました。当時の台湾映画界はとても低迷した時期でしたので、台湾映画界にとって、すごく励みにになった映画でした。
 
忙しくなる年末年始ですが、今年は遠出もなかなか出来ない方も多くいらっしゃると思います。今年はのんびりと休みながら、オリジナルな台湾映画を是非ともご鑑賞してはいかかでしょうか。

2020年11月

冬で楽しむちょっと珍しい食べ物ー釋迦(ㄕˋ ㄐㄧㄚ/Shìjiā)

毎週月曜

午後4:30

多肉植物

11月に入って寒くなってきました。
台湾の夏の風物詩であるマンゴーかき氷も懐かしく思います。

でも、台湾は季節を問わずに果物や食べ物が豊かな産地です。
冬の台湾でも美味しい果物や食べ物があるんです。亜熱帯に位置する暖かい気候のおかげですね。

台湾でも、小さい頃に親に連れてもらってよく田舎に遊びに行きますが、冬になると2つの食べ物が田舎での楽しみになるんです。
それは釋迦(Shìjiā)と菱角(Língjiǎo)です。

ユニークな熱帯アメリカンフルーツ:釋迦(Shìjiā)
日本語では「シャカトウ」と呼ばれ、お釈迦様の頭を思わせるデコボコが表面を覆う、濃い緑色の果物です。

ユニークな形なので見かけたらすぐに分かると思います。果肉は白くてクリーム状でちょっと濃厚そうに見えます。実際に食べてみると、柔らかくて甘くて濃厚で食感も特別です。美味しくて自然と微笑んできますから、この果物だったら誰だってグルメ番組の名レポーターになれるでしょう。

産地は台北からだと台湾中央の険しい山々を越えて台湾の東にあるその名も台東というところです。昔から交通が不便なところでしか栽培されていない上、果実は柔らかくなると傷みが進むので、台湾人にとってもそんなによく食べることのできる果物ではないですね。台湾の中でも高級な果物です。

旬は毎年の中秋節前後(8月から11月)と旧正月(12月から2月)の辺りですので、ちょうどその季節に台湾に訪れることがあれば、絶対オススメです。
(続)

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